国土交通省は、令和3年の地価公示結果(価格時点1月1日)を3月23日に公表しました。今回はコロナ禍の影響がどの程度織り込まれるかという点で、今まで以上に注目されていましたが、ミナミで大きな下落率となるなど、全国の全用途平均でも平成27年以来6年ぶりに下落に転じるなど厳しい結果になっています。
今回は公表されたばかりの地価公示結果について、新型コロナウィルス感染症の影響も踏まえて詳しく見ていきたいと思います。
地価公示とは
国土交通省不動産・建設経済局の「地価公示の概要」には、「地価公示とは地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市計画区域等における標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示するもの」と説明されています。
公示価格については、「全国167の分科会に所属する2,353人の鑑定評価員(不動産鑑定士)が全国26,000地点(うち、福島第一原子力発電所の事故の影響による7地点で調査を休止)について選定及び確認を行い、分科会等における議論を経て鑑定評価した価格に基づいて判定している」とされ、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。
地価公示の主な役割は下記の」通りです。
- 一般の土地の取引に対して指標を与えること
- 不動産鑑定の規準となること
- 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
- 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
- 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること 等
令和3年の地価動向
令和3年地価公示の結果を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響が顕著なこともあり、全体的に弱含みとなっています。地価動向の変化の程度は、用途や地域によって異なるものの、商業地の変化率が住宅地よりも高く、三大都市圏の変化率が地方圏より大きくなっています。特に、大阪圏の商業の変化率が高くなっています。
全国の動向
全国の全用途平均は、平成27年以来6年ぶりに下落に転じています。用途別では、住宅地は平成28年以来5年ぶりに、商業地は平成26年以来7年ぶりの下落になっています。また、変動率マイナスが、住宅地では38都府県、商業地では39都府県に広がっています。
三大都市圏の動向
三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)の全用途平均・商業地はいずれも平成25年以来8年ぶりに下落に転じています。
住宅地については、東京圏が平成25年以来8年ぶりに、大阪圏が平成26年以来7年ぶりに、名古屋圏が平成24年以来9年ぶりに下落に転じました。
商業地では、大阪圏がマイナス1.8%、名古屋圏がマイナス1.7%と東京圏のマイナス1.0%に比べて大きくなっています。
地方圏の動向
地方圏における全用途平均・商業地は平成29年以来4年ぶりに、住宅地は平成30年以来3年ぶりに下落に転じています。
地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では全用途平均、住宅地、商業地のいずれも上昇を継続しましたが上昇率が縮小しています。
地方四市を除くその他の地域では、全用途平均・住宅地は平成31年以来2年ぶりに、商業地は平成30年以来3年ぶりに下落に転じています。
大阪府・大阪市の動向
商業地については、大阪府がマイナス2.1%で全国トップの下落率、大阪市がマイナス4.4%で県庁所在地としては奈良市に次いで2番目の下落率となっています。
新型コロナウイルス禍でインバウンド(訪日外国人)観光客が消滅した影響が大きく、地点別では、大阪・道頓堀の老舗フグ料理店「づぼらや」跡地がマイナス28.0%となり全国の商業地の下落率トップとなってしまいました。
住宅地については、大阪府が平成27年以来6年ぶりのマイナス0.5%となりました。大阪市中心部では上昇が見られたものの、南部では堺市など一部を除き軒並み下落したことが影響しています。
地点別に見ると、全国の商業地の下落率トップ10地点のうち関西が9地点を占めており、全国で5地点しかないマイナス20%超の地点はすべて大阪・ミナミに集中しています。近年、インバウンド観光客の影響でミナミの地価は大きく上昇していましたので、コロナ禍でその反動が大きく表れたと見られます。
関西の公示地価上位5地点の状況は下記の通りで、大阪・キタはミナミに比べて下落率は低くなっています。
関西の公示地価上位5地点(㎡単価/前年比増減率)
- 1位 大阪市北区大深町4-20(グランフロント大阪南館) 2290万円/▲8.4%
- 2位 大阪市中央区宗右衛門町7-2(住友商事心斎橋ビル) 2110万円/▲26.5%
- 3位 大阪市北区梅田1-8-17(大阪第一生命ビルディング) 1650万円/▲2.4%
- 4位 大阪市中央区心斎橋筋2-8-5(心斎橋筋商店街) 1490万円/▲20.3%
- 5位 大阪市北区角田町7-10(阪急HEP NAVIO) 1210万円/▲9.7%
今後も商業地については、店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感から全体的に需要は弱含みで推移すると思われます。
住宅地については比較的安定しているものの、コロナ禍が長期化してリモートワークが定着していくと一部で変動幅が大きくなる可能性も考えられます。
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