2020年から続いたコロナ禍もようやく落ち着いてきましたが、その間、収入面での不安を感じた方も多かったのではないでしょうか。長期の住宅ローン返済期間中には、新型コロナウイルスの感染拡大のように、予期せぬ事態に遭遇することも考えられます。もしも、住宅ローン返済に困る状況に陥り、実際に滞納することになったら、どのように状況になるのでしょうか?
今回は住宅ローンを滞納してしまったときに起こる事態を確認するとともに、最悪の事態を避けるための対処法について考えていきましょう。
住宅ローンを滞納したときの状況について
第一段階:「支払請求書」の送付と「遅延損害金」の発生(滞納1ヵ月~3ヵ月目)
住宅ローンを万が一滞納してしまった場合、1回滞納しただけで即ブラックリストに載ってしまうわけではありません。(実際に「ブラックリスト」が存在するわけではなく、「金融事故」を起こした事実が記録されます。)
第一段階としては、「支払請求書」が送られてきて、「遅延損害金」というペナルティが課せられることになります。うっかりしていて口座引き落としが出来なかった場合も同様で、たった1日遅れただけでも「遅延損害金」は発生します。遅延損害金は最大年14.6%と上限が決められており、日割り計算をしますので1日数百円程度で済みますが、返済金額がその分上乗せとなりますので注意しましょう。
第二段階:「督促状」・「催告状」の送付(滞納3ヵ月目)
「支払請求書」が送られてきた時点で返済を完了していれば問題ありませんが、滞納が3か月程度経過してしまうと、「督促状」・「催告状」が送付されることになります。
「督促状・催告状」は、金融機関からの最後通告となりますので、これが届く前に滞納を解消しなければならないと認識してください。それでも支払いが出来なかった場合には「期限の利益の喪失」が待っています。
第三段階:「期限の利益」の喪失(滞納3ヵ月~6ヵ月)
数千万円という金額を35年という長期に渡って分割払いするという約束で住宅ローンを借り入れた訳ですから、返済する約束を破ってしまうと、「もう待てないので、分割払いの権利を取り上げます。」と金融機関に言われてしまいます。
これを「期限の利益」を喪失すると呼び、結果として、金融機関から住宅ローンの一括返済を求められることになります。
第四段階:「代位弁済通知書」の送付(滞納6ヵ月~10ヵ月)
住宅ローンの「期限の利益」を喪失してしまうと、一括で全額返済しなくてはなりません。ここであなたの代わりに一括で支払いを行うのが、住宅ローンの申し込みをした時に、借り入れの審査を行ったあの「保証会社」です。
債務者に代わって保証会社が一括弁済するので、金融機関にダメージはありません。その後、遅延損害金を含めたローンの残債金額を保証会社が請求してくることになります。このタイミングで返済先が金融機関から保証会社に変わるということです。
第五段階:「競売開始決定通知書」の送付(滞納10ヵ月前後)
住宅ローンの残債を一括返済できないとなると、いよいよ「競売」へと手続きが進んでしまいます。保証会社が競売申し立てを行うと、マイホームは勝手に処分できないように「差し押さえ」されてしまいます。個々に滞納状況が異なるため一概には言えませんが、最初の延滞から競売手続きに入るまでは10か月前後になると思われます。
最悪の事態を避けるための方法とは
住宅ローンの返済が難しくなった時には、できるだけ早い段階で金融機関に相談してください。金融機関側としても、滞納を防ぐために現状に合った救済措置を提案してくれます。
主な救済措置には下記のようなものがあります。
- 返済期間の延長
- 一定期間の返済額減額
- 返済猶予(利息支払いのみ)
- ボーナス払いの変更
これらの救済措置は金融機関によっても異なりますので確認が必要です。
ただし、年齢や今後の収入の見込みなどクリアしなくてはならない問題があり、対応不可の判断がくだされることもありえます。また、一時的な救済措置で困難な状況を乗り切ったとしても、後々はローン総返済額が多くなる、月々の返済負担が増える、最終返済日が延びるなどのリスクを背負うことになります。金融機関の担当者とよく相談して最善の方法を摸索するようにしましょう。
このままだといずれローン破綻してしまう状況であれば、自らマイホームを売却した方が得策です。なぜなら「競売」にかけられた場合には、売却価格が市場価格の5割~7割と大幅に低くなってしまい、それだけローン残債が大きくなってしまうからです。
このような場合は、不動産会社を通じて、金融機関に「任意売却」を打診することになります。任意売却についても、実際に滞納が始まる前と後では、金融機関側の対応が大きく異なりますので、できる早い段階で信頼できる不動産会社に相談することが大切になります。
住宅ローンを延滞してしまう多くの人が「こんなはずではなかった・・・」と落ち込み、悩んでいるうちに時間が過ぎてしまいます。不測の事態に陥りそうになった場合は、早めの相談がカギとなります。せっかく手に入れたマイホームを手放さなくて済むように早めに動いていきましょう。
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