不動産を売却する際の重要書類として「付帯設備表」というものがあります。
「付帯設備表」は主に取引する不動産の「設備の有無」、その設備の「故障の有無」を買主に説明する書類で、故障や不具合に関して「言った・言わない」といったトラブルを防止することを目的としています。民法改正後の「契約不適合責任」を追及されないように、「物件状況報告書」とともに重要な書類となります。
「物件状況報告書」については、別の機会に詳しくご説明しますので、今回は「付帯設備表」の中身をしっかりと確認していきましょう。
売買契約時の「付帯設備表」とは
「付帯設備表」とは、不動産の売買において、物件に付属する設備や備品の有無や状態を明記した書類です。
例えば、エアコンや給湯器、キッチンや浴室などの設備が付帯設備にあたります。付帯設備表は、売買契約書の添付書類として作成され、売主と買主の双方で確認し、署名捺印することで合意内容を明確にします。
「付帯設備表」によって、付帯設備の有無や状態を把握することができるので、契約後のトラブル防止に役立ちます。売主側は、付帯設備表を作成する際には、仲介会社の担当者に立ち合いを依頼するなど、注意しながら進めることをお勧めいたします。
「付帯設備表」の記載項目について
「付帯設備表」には、一般的に以下のような項目が記載されますが、書式によって記載内容が異なりますので、詳細は不動産会社に確認しましょう。
- 付帯設備の種類と数量
- 付帯設備の所有者(売主または第三者)
- 付帯設備の引渡し方法(譲渡または貸与)
- 付帯設備の引渡し時期(契約時または引渡し時)
- 付帯設備の状態(正常または故障)
- 付帯設備の保証期間や保証書の有無
- 付帯設備に関する特記事項
参考資料として、公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会の「付帯設備表」ひな形を例に記載項目を見てみましょう。
土地建物の付帯設備表
マンションの付帯設備表
主要な項目として①給湯関係、②水回り関係、③空調関係の3つがあります。生活する上で非常に大事な部分の設備について書かれています。
さらに、その他の設備として④照明関係、⑤収納関係、⑥建具関係、⑦テレビ視聴関係、⑧その他の項目が続きます。
例えば建具(扉、窓、網戸など)であれば、スムーズに動くか、異音はしないか、鍵は壊れていないか、キズや穴はないかといったことに注意して記入します。異音はするけれどきちんと閉まる場合、「不具合/無」と書いてしまうと、トラブルになる可能性があります。現状を正確に表現するように努めましょう。
「付帯設備表」は売主が記入するもの
「付帯設備表」は、売買契約締結までに売主が作成しなければならない書類です。
所有している不動産の設備について記載するものなので、簡単に書き上げることができると思いがちですが、普段生活をしていると意外と故障や不具合が当たり前になり慣れてしまっていることがあります。
「付帯設備表」は、自分だけでなく、不動産会社の担当者など第三者の立ち合いのもと、しっかり時間をかけて記入していくことをお勧めします。
よく確認せずに記入してしまうと故障や不具合を見落とす可能性がありますし、家具で隠していた大きなキズや汚れのことなど忘れてしまっていることもあり得ます。
中古物件は多かれ少なかれキズや汚れがあるものなので、トラブルなく売却したいのであれば、細かなことでも買主側にきちんと伝えるようにしましょう。
付帯設備の保証期間について
個人が所有する不動産の売買仲介では、これまで「現況引き渡し」が一般的でした。しかしながら、トラブルになるケースが多かったこともあり、最近では「引き渡しを受けてから1週間の保証期間」を設けることが増えてきました。
契約書に下記のような文面を加えておくと責任の所在が明確になります。
例)売主は買主に対し、設備について契約不適合責任を負わないものとする。ただし、「故障不具合」欄で「無」とした「1.主要設備」については、引渡完了日から7日以内に通知を受けた故障不具合に限り、売主は補修する責任を負う。付帯設備表の「故障不具合」欄で「有」とした設備については、故障不具合の箇所および具体的内容等を記載して買主へ説明をした場合、売主は修復をせずに引き渡すものとする。
「残置物」はトラブルの原因となるので要注意
まだまだ正常に使える設備は問題ありませんが、古くて傷んだ設備を残すとトラブルに発展することがあるので注意しましょう。
残置物については、できるだけ撤去してしまう方が良いのですが、買主から「残しておいてほしい」との希望があった場合は、現状を正確に記載した書面を交わし合意しておきましょう。
マイホームの売却には売主としての責任が発生しますので、契約後のトラブルを防止する意味でも、買主側にはできるだけ正確な情報を伝え、気持ちの良い取引が出来るようにしましょう。
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