査定価格の高い不動産会社が優良会社とは限らない！不動産査定価格の捉え方について

不動産を売却する場合、まずは不動産会社に対象物件の査定を依頼し、査定価格をもとに売出価格を決めるのが一般的です。

複数の不動産会社に査定を依頼した場合、異なった査定価格が提示されることもありますが、それは何故なのでしょうか？

そして、このような場合、一番高い査定価格を提示した会社を選べばいいのでしょうか？今回は、不動産査定に関する疑問について、考えていきたいと思います。

不動産査定の種類

不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の２種類があります。

売却時期が少し先になる場合は、手間のかからない「机上査定」で相場価格を把握することをお勧めします。

実際に売却を開始する前には、現地を確認した上で行う「訪問査定」で、きっちりとした査定価格を提示してもらいましょう。

「机上査定」は、公示価格、基準価格、路線価などの公的データや周辺の取引事例を参考にして行う簡易査定です。

実際に現地を確認しないため、物件個別の状況を把握することはできませんが、物件の相場価格を簡単に把握することができます。

「訪問査定」は、現地査定、本査定とも呼ばれます。実際に現地を訪問し、物件の外観や内部、周辺環境なども調査した上で行うため、時間はかかりますが、「机上査定」よりも正確な査定価格を知ることができます。

外観の劣化、内部の痛み具合や設備の損傷具合など、個々の物件状況が査定に反映されることになりますが、一方で、「リフォームを行っている」、「設備の入れ替えを行っている」などのプラス要因があれば、査定価格にも反映されます。

具体的な売却予定がある場合は、訪問査定を依頼されることをお勧めいたします。

中古車や貴金属の買い取り査定では、提示された査定価格で買い取りが行われるため、複数の会社の査定価格を比較することに意味があります。

しかしながら、不動産売却の査定価格は、あくまでの現在の不動産相場を参考にした目安の金額であって、査定価格での売却を保証するものではありません。

不動産会社としては、不動産市場の動向や取引事例などを参考に、おおむね3ヵ月程度で売却できる可能性が高い金額として、査定価格を提示することになります。

実際には、近隣で競合する物件の売り出し状況や景気の変動、住宅ローン金利の状況などによって、査定価格よりも低い売却額となる可能性も考えられます。

逆に、近隣の方が思わぬ高値で購入するケースも少なくないため、売出価格は査定価格よりも高めでスタートすることが一般的です。

このように不動産売却の査定価格は、あくまでも売り出し価格を決定するための“参考価格”と捉えることが適切であって、査定価格という値よりも、査定の根拠をきちんとヒアリングすることが大切だと考えます。

売却を検討している不動産に対し、予想よりも高額な査定価格の提示があれば、誰しも嬉しくなるものです。

そのままの勢いで、高い査定価格を提示した不動産会社と媒介契約を結んでしまいそうになるかもしれませんが、そこは一旦立ち止まって、冷静に対処する必要があります。

よくあるケースですが、複数の不動産会社から査定価格が返ってくる「一括査定サイト」を利用すると、いくつかの会社だけが、他とは異なる高額な査定価格を出して来ることがあります。

「具体的な買い希望がある」「このマンションでの売却実績が豊富にある」など、様々なセールストークで媒介契約を結ばせようとしますが、このような不動産会社に売却を任せると、結局いつまでたっても売れず、最終的には大幅な値下げを余儀なくされるということになってしまうので要注意です。

同じ業界で仕事をする立場からすると非常に残念ではありますが、不動産会社の中には、専任媒介契約を結びたいがために、不動産相場を無視した高額の査定価格を提示してくる会社があるということを、知っていただきたいと思います。

先述の通り、不動産売却における査定価格は、あくまで予想価格であり、最終的にその価格での売却を確約するものではありません。

そのため、高めの査定価格を提示し、売却依頼を獲得しようとする不動産会社が後を絶たないのです。

不動産相場とかけ離れた価格で売り出してしまうと、売却活動が長期化し、売れ残り感が出てしまうことになりますので、信頼できる不動産会社と十分に相談しながら、売出価格を決めていくことが大切になります。

このブログで、これから何度もお伝えしていくことになると思いますが、「不動産売却」を成功させるために最も重要なことは、エリアの不動産市況を正確に把握した「信頼できる不動産会社」を見つけることです。

高い査定価格を提示する不動産会社が、早期売却・高値売却を実現できる訳ではないことをご理解ください。